Bluetooth方向検知はBluetooth 5.1コア仕様の主要な機能です。これは、従来は受信信号強度表示(RSSI)を使った信号強度ベースの技術しか使われていなかった位置情報サービスを強化するために設計されました。
Bluetooth方向検知機能は、物流や倉庫管理から病院や工場での資産セキュリティまで、幅広い場面で資産追跡用のリアルタイム ロケーション システム(RTLS)に新しい、より優れた使用法を提供します。また、消費者に対して近接度に基づいた周囲の情報を知らせるといった優れたユーザー体験をもたらします。
Bluetooth方向検知は、実装の複雑さに応じて、2Dまたは3Dで位置を検出するために使用できます。
受信角度と放射角度
Bluetooth方向検知は受信角度(AoA)と放射角度(AoD)という2つの概念を基にしています。アンテナがRF信号を受信(AoA)または送信(AoD)するときに発生するアンテナ間の角度位相差を利用します。
通信リンクの両側にアンテナアレイを使用することで位相差データを求め、そこから位置を計算します。
どちらのアプローチを選択すべきか
AoAとAoDのどちらを選択すべきかは、使用方法に大きく依存します。両方とも効果的に使用できます。どのような環境で使用するかにより、様々な検討の基に選択することが重要です。
AoAでは、位置を特定する発信元デバイスとして非常にシンプルで低コストのタグを使用できます。 このシステムでは、対象物の位置を求めて計算するために、より複雑なロケーターユニットが、邪魔にならない位置に取り付けられています。
使用場面としては以下のようなものが考えられます:
- 倉庫での資産追跡
- 病院、政府機関等における高価値資産の追跡
- 人やスタッフのIDの位置
AoDは、ハードウェアおよびソフトウェアの観点からAoAよりも複雑なタグを必要とします。 このシナリオでは、ハードウェア設計の点ではロケーターデバイスをシンプルにできますが、方向を求めて計算する機能の実装にあたってソフトウェアが複雑になります。
AoDを採用した方向検知には、スマートフォンやウェアラブルデバイス等、強力なユースケースがあります。現時点では、スマートフォンはBluetooth方向検知に対応していませんが、将来的にはサポートされると予想されます。
使用場面としては以下のようなものが考えられます:
- 大きな空港や病院等で行き先を探す
- ショッピングモールや展示会等で、興味に沿った案内の支援
- 鍵やリモコン等のアイテムを探す